無敵のピンク
きれざわ端娘です。
ピンク。それは女の子の象徴。
明るくて優しくて甘くて可愛い世界一の色。
小さい頃から大好きだった。
ピンクのスカート、ピンクのヘアゴム、ピンクのサンダル、ピンクの鉛筆、ピンクの自転車。
ごく普通の女の子としてピンク色のものを与えられたわたしは、ずっとピンクが似合う女の子でいられると思ってた。
でもやっぱり無敵のピンク色にも限界がやってくる。
中学生になるとピンクの服を着るのがだんだん恥ずかしくなり、暗い色を好むようになった。
ピンクは大好きだったけどピンク色を身につけるのはせいぜい持ち物のひとつやふたつくらい。
大好きだけど、わたしには似合わない。
もしかしたらピンク色は、わたしの一種のコンプレックスだったのかもしれない。
心の中では目立ちたい、可愛がられたいと思っていても恥ずかしさや諦めが勝ってしまって閉じこもることしか出来ない。それがすごく悔しかった。できることなら暗い気持ちを明るい無敵のピンクで殺してしまいたかった。
体調を崩してからはピンクなんて目にもとめないようになった。どうせ似合わない。わたしはそんなに可愛くなれない。可愛い色を身につけて似合わないと思われるのが怖かった。
大好きな音楽が死ぬほど詰まったウォークマンはわたしのピンクへの憧れを握りつぶして結晶にしたみたいだった。長い長い病気の中で、これを持っているだけでちょっとだけ無敵になる気がした。
それから、わたしは「無敵になるため」のピンクを集めはじめた。まずはイヤホン、ブックカバーなど身近なものから。わたしはアイドルも大好きだったからまゆゆをはじめとするピンクが似合う女の子を食い入るように見て、ピンクのキラキラを、可愛さを吸い込んだ。
だからプリキュアのテーマ曲を聴いて、カードを集めて、プリキュアが持っているキラキラをめいっぱい吸い込んだ。最初はやっぱり「その歳でプリキュアなんか観てどうするの」と言われて傷ついたりもした。でもやっぱり好きだった。あのキラキラは他にはないものだって信じ続けた。
そんなことを続けているうち、ピンクへのコンプレックスはほとんど無くなっていた。
わたしだってピンクが好きでいい。
女の子はみんな可愛い色が好きでいい。
思い切ってそう考えることで、わたしにとってピンクはより絶対的なものになっていった。
みんなコンプレックスはある。
いや人はコンプレックスの塊だ。でも好きなものは好きだと貫き通すことができなかったら、わたしはとうにダメになっていたかもしれない。好きなものは好きでいい。恥ずかしくたって年齢にそぐわなくたってそれで無敵になれるならなんだっていい。
わたしはピンクが大好きだ。
それが大好きなピンク色から、大好きなピンク色を纏って戦う女の子からわたしが少しだけ教えてもらったことです。
そんな記事を書いた今日は偶然にもストロベリームーンだそうです。